新公益(一般)法人
公益法人制度が新しくなりました。
公益法人制度改革によって平成20年12月1日から新公益法人関連3法が施行され、設立に主務官庁の許可が必要な民法法人(旧公益法人)の制度は廃止され、一般法人(一般社団法人・一般財団法人)として誰でも簡易な手続で法人を設立することができるようになりました。さらに一般法人で公益性の高い事業を行う場合は、行政庁(内閣府又は都道県)に公益認定の申請を行い認められば、「公益法人(公益社団法人・公益財団法人)」を名乗ることができ、税制上の優遇もあります。
従来からある民法法人(旧公益法人)は特例民法法人となり、平成25年11月30日(移行期間満了日)までに(新)公益法人又は一般法人に移行(認定、認可)しないと、移行期間満了日をもって解散したものとみなされます。ただし、移行期間満了前に認定又は認可の申請をしておけば、解散にはならず、不認定・不認可の処分が出たときはそのときをもって解散となります(整備法46条)。 →移行について
当事務所は新公益法人関連3法を熟知し、適切な助言と登記申請を行っております。
新制度の法人の定款、機関設定、社員総会議事録、評議員会議事録、理事会議事録から契約書の作成・相談まで承ります。ご予算に応じて対応致します。どうぞお気軽にご相談ください。
<一般社団・財団法人の特徴>
・準則主義 ・・・ 旧主務官庁の許可は不要で、定款認証と登記手続により設立。監督官庁もありません。
定款認証の印紙は不要(会社は4万円)。※登記の登録免許税6万円は必要です。
・目的 ・・・ 制約はなく、公益性の有無を問わない。収益事業も可能。
・非営利性 ・・・ 剰余金を社員(設立者)に分配する定款の定めは無効(法人法11条2項、153条3項2号)。
剰余金を社員に分配する旨の社員総会決議は不可(法人法35条3項)。
・・・ 残余財産を社員(設立者)に分配する定款の定めは無効(法人法11条2項、153条3項2号)。
残余財産を社員(設立者)に分配する旨の社員総会(評議員会)決議は有効。
(法人法239条2項、一問一答公益法人関連三法P159)。
※税法上の「非営利型法人」に該当すれば税制上の優遇もあります(法人税法施行令3条)。
<一般社団法人の特徴>
・社員 ・・・ 法人の構成員で、社員総会において法人の意志決定を行います。株式会社で言えば株主に
あたりますが、株主と違い出資は必要ではありません。
設立にあたって2名以上必要です。設立後は1名になっても大丈夫ですが、その1人が死亡
し社員が誰もいなくなってしまうと法人は解散しなければなりません(法人法148条4号)。
・理事 ・・・ 社員総会で選任され、法人の業務を執行し、法人を代表します。1人でも大丈夫です。
・代表理事 ・・・ 法人を代表します。代表理事が選定されたときは、他の理事は代表権を失います。
※選定方法
理事会設置の場合 → 理事会の決議。
理事会非設置の場合 → 定款、定款の定めにもとづく理事の互選、社員総会のいずれか。
(特に選定しないことも可)
・監事 ・・・ 定款をもって置くことができ、社員総会で選任され、理事の職務の執行を監査します。
・理事会 ・・・ 定款をもって置くことができ、理事全員で組織され、法人の業務の執行を決定します。
これにより社員総会の権限の大半が理事会に委譲され、機能的な運営が期待できます。
理事会が置かれたとき理事は3人以上必要になり(法人法65条3項)、監事の設置が義務づ
けられ(法人法61条)、代表理事が法人を代表し、代表理事又は業務執行理事が法人の業
務を執行します。
<一般財団法人の特徴>
・設立に際して拠出する財産 ・・・ 設立者は設立に際して300万円以上の財産を拠出します。
遺言による設立も可能です(法人法152条2項)。
・評議員 ・・・ 評議員会において理事の選任解任等法人の重要事項を決議します。
3名以上必要で、設立時は定款に定める等設立者が選任しますが、設立後の選任について
は定款で定めた方法によります。「評議員会で選任する」と規定することも可能です。
・理事、代表理事、監事、理事会 ・・・ 理事会が必ず設置され、理事会設置一般社団法人とほぼ同様です。
<公益社団・財団法人の特徴>
・「公益社団法人(公益財団法人)」を名乗ることができます。
・税制上の優遇があります。
・行政庁(内閣府又は都道府県)の監督を受けます。
・理事会(及び代表理事、監事)の設置が義務づけられます。
・目的に「公益事業」が必要になります。
・区分経理が必要になり、収支相償、公益目的事業比率に基準が設けられます。
・遊休財産の保有制限があります。
・理事及び監事の構成について、同一親族等関係者、同一団体関係者の占める割合について一定の制限が
あります(認定法5条10、11号)。
・評議員の選任方法について、公正かつ適正な法人の業務運営を担保するために、当該法人と密接な関係
にある者ばかりが評議員に選任されることのないよう注意が必要です(内閣府 定款作成の留意事項P72)。
(例) ①認定法5条10号、11号に準ずる者とする。
②中立的な機関を設置し、この機関の決定に従い評議員を選任解任する。
移行認定・認可について
・移行期間満了日は平成25年11月30日です。
・行政庁(内閣府又は都道府県)に移行(認定・認可)の申請をします。
必要書類 ・・・ 申請書、定款変更案(定款変更決議を行ったもの。主務官庁の認可は不要。整備法102条)、
事業計画書、収支予算書、最終事業年度の財産目録・貸借対照表等。
・移行認定(認可)を受けてから2週間以内(従たる事務所では3週間以内)に特例民法法人の解散の登記と、
公益(一般)法人の設立の登記が必要です(整備法106条)。登記をした日の前日で一旦事業年度が終了
します(整備法規則2条)。
※移行の登記に公証人の定款認証は不要です。
申請からおよそ4か月を認定(認可)の審査期間としているようです。
平成24年4月1日は日曜日ですが、登記申請は可能です。
→ 特定の日に移行登記を希望される法人の皆様へ.pdf
→ 特例民法法人の移行の登記に関する事務の取扱について.pdf
・移行後最初の代表理事を定めた定款変更決議の議事録に、現在の理事長が議長もしくは議事録署名人に
なっていないために当理事長が法人印を押印していない場合は、署名者は全て実印で押印し印鑑証明書が
必要になりますので注意が必要です。
・代表理事の就任承諾書には実印で押印して印鑑証明書が必要になります。
・印鑑届は再度必要です。印鑑カードも引き継げませんので再度交付申請が必要です。